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2013.10.01
 
 
 
 

シビックプライド・トークセッション 開催レポート

「なごやをもっと好きになる。シビックプライドを考える。」

住民がその街に誇りと愛着を持ち、地域や地域産業を活性化させるには?都市の大小に関わらず、どの地域も抱える命題だろう。
 「シビックプライド(=市民が都市に対してもつ自負と愛着)」の概念は、19世紀のイギリスの都市で重要視された考え方で、日本語で言うところの「郷土愛」とは異なるニュアンスを持つ。自らが都市を構成する一員であり、その都市をよりよくするために関わる。誰かから何かをしてもらうという受け身の有り様ではなく、「当事者」としての自覚を持って、人と人、人と都市のコミュニケーションをとらえる。今回の「シビックプライド・トークセッション」では、住民がその街に誇りと愛着を持ち地域や地域産業を活性化させることを、3人のスピーカーと考えた。後半のトークセッションでは参加者の活発な発言も交え、会場が一体となった。自治体任せだけでは済ませられない時期にきている。そこにデザインはどう関わっていくのか。ビックプライドという考え方に触れ、個々が主体的に考え始めるきっかけになったのではないだろうか。
シビックプライド トークセッション

3スピーカー プレゼンテーション主旨

伊藤香織
東京理科大学准教授
「シビックプライド」とは、都市に対する誇りや愛着であり、都市をもっとよりよい場所にするために、自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心です。「人」が“まち”の資産となる現代社会において「シビックプライド」を醸成するには、デザイン面でもいくつかのポイントがあります。
 市民がまちづくりに関わり、それが公共のデザインに表れていること。”まち”を知り、好きになるということ。与えられたものを享受するだけではなく、学びながら関わっていける場を提供することが重要。”まち”の共犯者になること。”まち”から愛されるということ。おおらかに受け入れる公共空間が、”まち”から愛されているという感覚を生み出し、この”まち”は自分たちのものだと実感できるようになります。

紫牟田伸子
プロジェクトエディター/デザインプロデューサー
日本のこれからの豊かさや、どの都市を選び、どう維持すべきかを考えたとき、都市の個性を際立たせ、そこに経済を発展させる「シビックプライド」が重要となってきます。”まち”のポテンシャルが感じられなければ、人々はそこを選んでくれません。「シビックプライド」を持つということは、「ここでつくる」「ここで生きる」ことへの責任と自負を持つということでもあります。

鈴木 功
タイププロジェクト株式会社代表・タイプデザイナー/愛知県立芸術大学非常勤講師
従来のフォントは、歴史性を強く反映したものが多いと言われます。では、そこに風土や地域性を反映させることは可能だろうか?という着想から、「都市フォント」の構想が生まれ、「金シャチフォント」が完成しました。
 名古屋は強いイメージ喚起力、アイコンを持っている数少ない都市の一つです。クオリティは落とさず、風景・ことば・味といった地域固有の文化資源を分かりやすいものに置き換えながら、戦略的に都市のアイデンティティを形成することで、「シビックプライド」の醸成につながっていくのではないでしょうか。

シビックプライド・トークセッション
開催日:2012年3月10日(土)
会場:国際デザインセンター・プレゼンテーションルーム
主催:クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会(名古屋市・株式会社国際デザインセンター・名古屋商工会議所・中部デザイン団体協議会)

※スピーカーのプレゼンテーション、トークセッションの内容などは、記録写真とともに、クリエイティブ・デザインシティなごやの公式サイト、フェイスブックでお伝えしています。