プロダクト部門賞/Product Division Prize

作品名 Safety Slope(セーフティ・スロープ)
コンセプト 近年、駅のバリアフリー化が進む一方で、ホームでの車椅子やベビーカーによる転落事故が起きている。原因はホームの勾配である。転落防止柵やホームドアの設置が望ましいが、ドアの位置が異なる電車の相互乗り入れ等が壁となり、対策が思うように進んでいないのが現状である。ホームの勾配は、雨水などの水捌けを良くするために、線路に向けて下る構造になっている。通常では1メートル当たり1センチ下がる1%勾配だが、構造上1%を超えてしまう場合もある。そこで、現在のホームに簡易的に設置できる逆の勾配のついたタイル ’Safety Slope’を提案する。電車の乗り降りの邪魔にならない高さまで逆勾配を設け、勝手に走りだしてまった車輪を止める。内部の水路からは今まで通りに雨水を捌ける構造のタイルである。10年後、転落事故ゼロの社会の為に、’Safety Slope’を広めていって欲しいと願う。
審査員コメント この作品は、今すでにある社会資本を少しでもよくしていくという、小さな解決策かも知れない。しかしその小さな解決が未来につながっていく。これまでの日本の駅の設計は建築の経済的、効率的な面を重視して作られてきており、バリアフリーや利用者の安全性など、人間を重視した駅の改善がまだ十分になされていない過渡期にある。ホームの傾斜による転落事故の危険性という問題に着目し、それをいかに解決するかに取り組んだこの作品は、検証や実験など丁寧なプロセスを踏んでおり、現実的に、確実に世の中を少しでもよくしていくことにチャレンジした作者の姿勢は大いに評価したい。

受賞者名 吉田 真也/Shinya Yoshida
生年 1984年
性別 男性
国籍 日本
職業 フリーランスデザイナー
学歴 専門学校卒業
受賞歴 第22回コイズミ国際学生照明デザインコンペ 銀賞 第23回コイズミ国際学生照明デザインコンペ 佳作・WEB優秀賞
共同制作者 mawaru