開催概要

展示作品写真

国際デザインセンター・デザインミュージアムでは、このたび、収蔵品であるアメリカン・アール・デコ・コレクションをご紹介するシリーズ展vol.15として、「 American Designers of the 30s 第1世代のデザイナーたち」を開催します。デザイナーという言葉が職業として認知された歴史はさほど古くなく、社会で広く評価され、認知されたのは1930年代のアメリカでのこと。第一次大戦の後、経済大国として発展した国で生まれた新しい職種であり、役割でした。工業製品を中心に活躍を見せた当時のデザイナーらは、新しい技術や素材を最大限にアピールするデザインを数多く生み出し、不況にあえぐアメリカ経済に大きな役割を果たしました。本企画では第一世代のデザイナーと呼ばれる彼らの手によるデザイン製品を公開します。

19世紀末から20世紀初頭、産業革命と工業化社会が発展したヨーロッパ・アメリカで、“芸術と技術の融合 ”の必要性を説く人々が現れました。彼らの多くは芸術分野出身であり、その思想の背景にはあふれる無骨な工業製品への危機感と不満がありました。当時工業製品の多くは技術者や設計者が開発からスタイリングまですべてを担い、その結果美しさからほど遠い製品が大量に生産されたのです。ことに第一次世界大戦を契機に国力を高めた新興国アメリカにおいては、科学や機械技術への抵抗感が少なく、巨大で不格好な機械の固まりが当然のように氾濫していました。
1920年代、アメリカがウォール街の破綻に始まった世界恐慌からの復興に苦しんでいた頃、彼らの何人かは、親しみやすくも、美しくもなかった工業製品に新しいスタイリングを提案します。それらは使いやすく時代の感覚を取り入れたもので、人々を惹き付けるデザインはまたたく間に商業的成功をもたらしました。また彼らの仕事は一つの企業内にとどまらず、様々な製品に関わることで、単なるスタイリングを越えた企画力をもつ“デザイナー”は製造業界に欠かせない存在となっていきました。
後に“アメリカをデザインした”とまで言われたレイモンド・ローウィは、ファッション・イラストレーターとしてキャリアをスタートさせた後、1920年代後期、イギリスのコピー機を手掛けてめざましい販売成果を上げ、アメリカでデザイン事務所を開きます。同時期、同じくイラストや広告のグラフィック業界で活躍していたウォルター・ドーウィン・ティーグはコダックの新しいカメラを提案して爆発的なヒットを飛ばし、舞台芸術を手掛けていたヘンリー・ドレフュスは電気掃除機など身近な電化製品から後には国家的プロジェクトとなった万国博覧会のパビリオンまで、目覚ましい活躍を見せました。
彼らは、新しい技術とその魅力をわかりやすく、同時に美しい形で消費者に訴えることで商業的な成功を生むとともに、“人々に新しい生活と美しさをもたらす”という信念の元に、実践を試みていました。彼らのあるものは技術の進歩を見据えて未来の生活を変える輸送機関を提案し、あるものは当時既に人間工学に基づいたデザインを研究、提言しています。彼ら第一世代のデザイナーは生活の中で大衆の最も身近な存在である製品を手掛けることで、それまでの芸術にない面白さと意義を見出したと言えるでしょう。彼らは後に初めての工業デザイナー団体を結成し、後進の教育にも力を注いで未来への可能性を模索し続けました。機械化と工業化の中で人の美的感覚の重要性を一つの職業の形で確立した業績は大きく、また残された製品は彼らの追求した美的水準の高さを伝えています。

本企画では、当時活躍した代表的なデザイナーを取り上げ、家具や工業製品、食器等約60点を関連資料とともに展示、その活動をご紹介します。当時のデザイナーらの斬新な仕事に触れてみてください。

デザインミュージアム・コレクションシリーズ vol.15 「American Designers of the 30s 第1世代のデザイナーたち」

会期
2010年3月26日(金)~5月9日(日)
時間
11:00~20:00(入館は19:30まで/最終日も同じ)◎会期中無休
会場
国際デザインセンター・デザインミュージアム
〒460-0008名古屋市中区栄3-18-1ナディアパーク・デザインセンタービル4階/電話:052-265-2106
入場料
一般300円/学生200円(常設展示含む)※中学生以下無料
主催
株式会社国際デザインセンター
お問い合わせ
デザインセンター・事業部「第1世代のデザイナー」係お問い合わせフォームへリンク

アクセス

  • 地下鉄名城線「矢場町」駅6番出口より徒歩5分
  • 地下鉄東山線「栄」駅7番出口より徒歩7分
  • ◎詳しいアクセスはこちらをご覧ください