《開催レポート

長大作展タイトルロゴ

 国際デザインセンターでは、2002年8月2日から8月18日にわたり、デザインミュージアム特別企画展として「長大作展 真摯なデザイン、その心意気」を開催した。
 デザイナーシリーズの第4回にあたる本展は、建築家であり家具デザイナーである長大作氏の作品を紹介する名古屋ではじめての機会となった。長きにわたる氏の制作活動とともに、高い完成度を求めて「リ・デザイン」されつづけている代表作の変遷と、そのデザインルーツも公開された。初日にはトークショーも開催。定員を大きく上回る申込者が集まった会場では、自らのオリジナリティと優れたデザインのあり方を追求する姿勢が長氏の口から語られた。
 「椅子は座らなければわからない」という氏とメーカー各位のご協力を受け、ほぼすべての展示作品に自由に座ることができたことも好評の一因となった。会期中には分野を問わず幅広い客層が訪れ、近年のインテリアデザインへの関心の高まりも感じられた。
 高感度なファッション、インテリアグッズのセレクトで絶大な人気を誇る「BEAMS」の名古屋地区ディレクター・馬場万里哉氏に展覧会についてのコメントをいただいた。

 
「クリエイティブなバランス」
馬場 万里哉(有限会社ペリカンハウス常務取締役)

 品々を売る仕事をしていて大切に思っていることがある。それは、文献を読む前に品を見て感じたことを直接創り手に訊くことである。「長 大作展」があると聞き喜んで出掛けて行った。

  自称家具好きであるが選ぶ基準は洋服と変わりない。オリジナルデザインであること。景色にあっていること。日常使いするために使いやすいこと。完成度の高さゆえに長く作り続けられていて購入できること。これらをクリアしたものは自然と美しく見える。そして、美しいという言葉の中には「タイムレスなデザイン」という意味がこめられていると思っている。同じ想いの創り手が多ければ日本は素適な街並になっていただろう。さて、長 大作氏はどんなバランスの持主なのだろうか。

 実は氏の椅子に出会ったのはこれが初めてではない。もともとデザインミュージアムに展示してあったこともあり気に入っていた、いや、気になっていたデザインであった。最初の出会いはロンドンの知人宅である。キッチンに何気に置いてあったダイニングチェア。今まで見たことがないほど背中が切り立っていた。「曲線と直線が無駄なくかみ合っている。美しい」。聞けばそれは日本人建築家のものだという。私にとってはじめて聞く名前であった。

  またしばらくして京都に立ち寄った際、背筋の伸びたいかにも正座をしているかのような椅子があった。西洋化している生活にふと我に返ったような気がした。聞き覚えのある建築家の名前に、なぜここにも?と不思議でならなかった。どんな方なのだろう。

 会場は私にとって見慣れた空間であったが、この時ばかりは明らかに違っていた。生活に密着した数々の座る道具と製図が建築家「長 大作」の能力を十二分に物語っていた。そこにはまだ椅子という道具を使いこなせていなかった日本と正座という姿勢が一体化したデザインの世界が広がっているように思えた。どのデザインも姿勢がよく、そして近代的な空間にさえとけ込んでいた。タイムレスデザインであった。

 驚いたことに小椅子には元ネタがあった。J・プルーベのリ・デザインを繰り返したものだという。信じられなかった。「長 大作」のデザインにしか思えないフォルムだったからである。私にとってプルーベは和を連想させる建築家である。素材こそ違うがプルーベの創り出す空間には太い梁や和住居の間を感じてしまう。自らの環境や文化をデザインソースとしながらリ・デザインを繰り返しオリジナルに到達する。瞬間、世界の選択基準はまさにそこを見、評価しているように感じた。

 日本には何々風と思える椅子があまりにも多く公然と売られている。そもそも日本の建築家とか陶芸家など何々家と付く人は何故か襟無しのシャツや上着を着ている。クリエイティブな仕事をしているのにみんな同じフォルム。洋服業界から見た不思議である。この日の長氏はとても品のある襟無しシャツを着ていた。襟無しは長氏が最初に着はじめたのではないかと思わせるほどだった。そう感じさせるほどクリエイティブな功績が長氏にはある。

■Mariya Baba=BEAMS名古屋地区ディレクター。現在、10店舗のマネジメントをおこなう。(有)ペリカンハウスが名古屋地区のBEAMSを展開する際に店長として迎えられ、記録的な売上をつくりだすモデルケースをつくりあげた。3年前、家をテーマにしたセレクトショップpelicanをオープン。オリジナルデザインも手掛け、バランスのとれた衣食住の提案をめざす。 「やるからには息の永いものにしたい」がモットー。クリスマスイヴ生まれの38歳

 
「長大作展 真摯なデザイン、その心意気」
会期=2002年8月2日(金)~8月18日(日)11:00~20:00 ◎入場無料
会場=国際デザインセンター・デザインミュージアム+デザインギャラリー
主催=国際デザインセンター/くりっく世田谷文化生活情報センター/富山県総合デザインセンター/ADAあおもりデザイン協会
後援=愛知県立芸術大学/朝日新聞社/中部デザイン団体協議会
展示協力=株式会社イデー/株式会社イトーキ/木曽三岳奥村設計所/北村脩一/坂倉百合/株式会社天童木工/BC工房株式会社/株式会社ミネルバ/YCSデザインライブラリー/リビングセンターOZONE
協力=武蔵野美術大学 島崎信
グラフィックデザイン=小島利之
会場音楽=紫芝洋彦
企画=くりっく世田谷文化生活情報センター/国際デザインセンター
入場者数=3,191名

トークショー

日時=2002年8月2日(金)14:00~15:30
会場=展示会場内にて開催
主催=国際デザインセンター
参加人数=73名(事前申込制定員50名)
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