国際若手デザイナーワークショップへの提案
   
理想と夢にあけ、その実現に向けた20世紀は科学の世紀であり、そして華やかで素晴らしいデザインの世紀でした。一方で、大都市の出現と人口増加と戦争、南北問題、民族問題とボーダレスの国境と文化、そうした中で、地球環境と遺伝子への追求の旅がはじまりました。さらにわれわれにとって、大きなコミュニケーション・メディアへの変容の波が訪れました。

いま、私どもはかって産声をあげた世紀の初頭とは違った枠組みを作り出す必要に迫られています。それは生物としての人間、地球と人間圏の関わり方、文明社会の中での人間としての視点から、人とコミュニケーションをどのように解きあかすかという問題です。

私ども視覚伝達によってデザインにかかわる者にとって、ヴィジュアル・デザインが今決別するべき過去と、継続すべき遺産を未来に対して見極め、新しいデザインの方向性を見つめた上で、新しい教育に立ち向かおうとしています。私は過去の規制の条件を解き放って、新たな関係性を考える基本のところから見直すことにより、必然的に立ち現れた新たな形が表現であると考えます。われわれはダイナミックな変容に、自由で心豊かに対応し、自らの立場で解決のための欲望をかきたてることのできる、ときめきの心を持ったクリエータ−やデザイナー像を期待しております。

教育は未来形のアバンギャルドな視点から常に変化していくこと自体が、新しい枠組みを生成していくために必要だと考えます。そしてデザインは豊かなエネルギーとして、社会に蓄積される起爆剤となることを若い命に期待し、その責務の重大さを教育とデザインに携わるわれわれの一人一人が強く意識しております。
   
提案
●デザイン教育の今考える基礎とはなにか。
●学生卒業制作で推薦できるものは何か。
について語りたい。

 
勝井三雄(国際若手交流ワークショップ開催委員会委員長/武蔵野美術大学名誉教授)
   
   
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