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2013.10.02
 
 
 
 

デザインツアー:揚輝荘「聴松閣」でクラシックを楽しむ 開催レポート

「聴松閣」外観

北園「白雲橋」/修学院離宮の千歳橋を模したといわれる廊橋で北園のシンボル的存在

北園庭園

揚輝荘の模型と佐藤館長(「聴松閣」1階展示室)

トリオdeブランチによるサロン風ミニコンサート(「聴松閣」地階多目的室(旧舞踏場))

2013年は「あいちトリエンナーレ2013」(主催:あいちトリエンナーレ実行委員会)の開催年にあたり、クリエイティブ・デザインシティなごやでも、このトリエンナーレに関連した事業をいくつか行っている。その内、デザイン啓発事業では、あいちトリエンナーレ2013パートナーシップ事業として、名古屋の歴史的建造物を専門家の解説を交え見学するデザインツアーを行った。専門家の持つ深い知識に触れ、デザインへの理解促進、名古屋の個性・魅力の再発見を図ろうというものである。

今回訪問した「揚輝荘(ようきそう)」(名古屋市千種区)は、株式会社松坂屋の初代社長・伊藤次郎左衛門祐民(いとうじろうざえもんすけたみ)氏の別邸が名古屋市へ寄贈されたもので、名古屋市郊外別荘の代表作のひとつである。大正7年(1918年)に、現在北園で公開されている「三賞亭(さんしょうてい)」をこの地に移築したことにはじまり、最盛期には30数棟がその威容を誇っていたという。多くはその姿を留めず、今は高級マンションが建っている。名古屋市に寄贈された5棟の文化財と庭園が往時を彷彿とさせ、市民の貴重な財産となっている。

当日は、修復を終え今年8月下旬に公開がはじまったばかりの揚輝荘・南園の「聴松閣(ちょうしょうかく)」を中心に、北園の「伴華楼(ばんがろう)」などと庭園も見学・散策した。今回の見学会は、このツアーのために特に組まれたもので、あわせて約1時間30分とコンパクトな内容ながら、保存・修復に尽力してきたNPO法人揚輝荘の会、愛知建築士会から、特に館長と3人の建築士からガイドを受けられ、応募倍率28倍から抽選で選ばれた41人の参加者が熱心に解説に聴き入る姿が見られた。

ツアーの締めくくりは、インド様式の意匠がエキゾチックな聴松閣・地階の多目的室(旧舞踏場)で、館長による祐民を中心にした解説とサロン風ミニコンサート(あわせて約1時間30分)。あまり知られていないが、松坂屋の前身であるいとう呉服店が明治44年(1911年)に結成した「いとう呉服店少年音楽隊」が、後に、現存する日本最古のオーケストラ、東京フィルハーモニー交響楽団に発展した。今回のミニコンサートでは、このエピソードを背景に、名古屋フィルハーモニー交響楽団に所属する3人が、揚輝荘にちなんだ10作品の演奏とトークで観客を楽しませた。

あいちトリエンナーレ2013パートナーシップ事業
デザインツアー:揚輝荘「聴松閣」でクラシックを楽しむ
日時:2013年9月29日(日)14:45〜18:00
会場:揚輝荘(名古屋市千種区)

インタープリター(ガイド・講師):
佐藤 允孝(NPO法人揚輝荘の会 事務局長/学芸員)
水谷 友彦(NPO法人揚輝荘の会 副理事長/建築士)
臼井 弘明(NPO法人揚輝荘の会 会員/建築士)
長谷川 利伯(NPO法人揚輝荘の会 会員/建築士)
演奏者:トリオdeブランチ
参加者数:41人

主催:クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会
(名古屋市・株式会社国際デザインセンター・名古屋商工会議所・中部デザイン団体協議会)
共催:揚輝荘
協力:名古屋ウィーン・クラブ

※クリエイティブ・デザインシティなごや(CDCN)のレポートでは、本ツアーの記録写真を多数掲載。また、この他のCDCNのさまざまなイベントのレポートもご覧いただけます。