ニュース&レポート

2013.10.01
 

ワールド・デザイン・キャピタル・トリノ2008 レポート

「インターナショナル・デザイン・カーサ」フランス

オランダの展示

スペインの展示

大揺れのエアクラフトが小雨に煙る深闇のトリノ空港にランディングし、空港の外に出ると、11月の初冬の冷たさがひんやりと伝わってきました。ここトリノでは、今年1年間に渡って「ワールド・デザイン・キャピタル・トリノ2008」が開催されており、約400に上る催事の中の1つである展示会「インターナショル・デザイン・カーサ」に、日本からは名古屋市が展示会「なごやサステナブル・デザイン2008」として出展しました。

展示会には、製品を展示する会場もあれば、芸術作品の展示館のようなものもあり、デザインをテーマに各国の個性的な展示が見られました。期間中には国際デザイン会議も開かれ、各国のプレゼンテーションが行われました。名古屋市のプレゼンテーションでは、戦後の名古屋の復興やデザイン都市としての新しい都市景観と美しさを備えた街づくり、また、最近の環境問題からのゴミ分別の積極的推進と市民の意識づけなどが紹介されました。中でも、特にゴミの分別処理については、各国が現実問題として抱えているため、各都市から大きな関心の目が向けられていました。

 トリノ市は、2006年冬季オリンピックの開催地として知られていますが、フィアットに代表される自動車産業が盛んであったこともあり、名古屋市とは姉妹都市になっています。市内は京都や名古屋のように道が東西南北に枡の目状になっており、誰でも地図さえあれば何処にでも行けます。現に、点在する各国のカーサ(展示会)を訪れるのもさほど難しいことではありませんでした。さすがにデザイン都市ということもあって昔の建物を大事に修復しつつ維持し、中世の趣ある景観を保っています。街中の建物は一律な高さを保ち、高い建物といえばトリノ市のシンボルとして聳え立つ塔、今は映画博物館に転用されているモーリ・アントネッリアーナがひときわ目立ちますが、最近は近代的な高層建築も建ちはじめ、景観が変わろうとしています。近い将来には近代的な高層ビルが建てられる計画も議会を通過したそうです。旧から新へ変わっていくのは時代の常ですが、バランスの取れた建造物ができることを願いたいものです。この塔(167mあるそうだ)では、真ん中にエレベーターが備えてあり、下層階ではエレベーターのゴンドラの回りに囲いがあるものが、上がるにつれて囲いがなくなり、ロープだけでゴンドラが上がっていくのです。これもデザインの1つなのか、ゴンドラの中から360度の眼下を見ると思わず足が竦む思いでした。

 「ワールド・デザイン・キャピタル」は2年後に韓国・ソウルで開催されることが決まっており、韓国のカーサでは、大スクリーンを用いた韓国色豊かな引継ぎレセプションが行われました。11月6日〜13日の期間中、カーサ名古屋には連日多くの来場者があり、累計で11,300人余の訪問を受けました。イタリアの大都市といえば、ミラノ、ローマとベニスなどが代表的で賑やかで華やかな国との印象がありますが、トリノは静かで治安的にも安全性の高い街でした。空港へ向かう途中、車窓全面に真っ白な雪を纏ったアルプスの峰々を目にし、また来てみたい地なのだとの思いを心に刻みつつ、帰国の途につきました。

(国際デザインセンター機関誌「NOC」vol.103[発行:2008年12月20日]より転載)

土岐 高廣Takahiro Toki