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第5回国際コンペティション「名古屋デザインDO! 2006」 ● テーマ:だれかのために〜対話と協同〜 For Someone Else-Communication and Collaboration- |
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デザインには、必ず「機能」が求められます。では、機能とは何でしょう。それは一義的には物の働きや作用のことですが、字義的にとらえれば「相互に関連し合って全体を構成する個々の部分が、全体の中で担っている役割」ということになります。そのことをふまえてデザインをとらえ直すと、作品自身の機能とは作品に備わった働きが周囲から独立してあるのではなく、それが置かれる環境の中で相互連関し作用するものだと言うことができます。機能とは社会的なものなのです。
あなたが何かを創作しようとしたとき、自分でこれはデザインだと思うのは何らかの他者の目を創作のプロセスに入れたときではないでしょうか。その他者の目は、直接的にクライアントでありユーザーの声であるかもしれませんが、それ以上にあなたの内なる声でもあるはずです。内なる声が「あの人のため、この人のため、いやもっと遠くの人々のため、いや未来に生きるまだ会ったこともない未知の人々のため、自分は何を作ろうとしているのだろう」と囁いているはずです。 名古屋デザインDO!の第5回のテーマは「だれかのために」となりました。そしてその後に「〜対話と協同〜」と続きます。「対話」する相手は、必ずしも人だけでなく物・出来事や私達が置かれた環境でもよいのです。また「協同」は、一人の人間の中で閉じてしまわないもの、を意味しています。本来デザインという行為には、自分以外の人やモノとの関係性においてデザインするという意識が基本にあります。そして対話と協同を通じてデザインが導かれることは、決して創作者のオリジナリティを失わせることではありません。それは最終的に自分の創造性をさらに輝かせる力さえ与えてくれるからです。 従って今回のデザインコンペティションは今までの審査方法とは異なり、最終作品だけでなくデザインのプロセスをも評価していきます。グループ参加の場合は異なるジャンルのコラボレーションも考えられると思います。個人参加の場合はご自分の創作の動機とプロセスが分かりやすいプレゼンテーションを心がけられたら良いと思います。名古屋を、デザインの複雑な位相がフュージョンする場として活用してくださることを、審査委員一同願っています。 (文:船曳鴻紅 Coco Funabiki) |
※このコンペティションのテーマは、石橋勝利、岩村和夫、勝井三雄、平野友康、船曳鴻紅の各氏で構成されるテーマ委員会により決定しました。 第5回国際コンペティション「名古屋デザインDO!」テーマ委員会 ・石橋勝利 [ (株)アクシス AXIS編集長] ・岩村和夫 [ 建築家/(株)岩村アトリエ 代表取締役] ・勝井三雄 [ グラフィックデザイナー/(株)勝井デザイン事務所 代表取締役] ・平野友康 [ (株)デジタルステージ 代表取締役] ・船曳鴻紅 [ デザインコンサルタント/ (株)東京デザインセンター 代表取締役社長] |
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