折り紙というモチーフから多くの発想を得ている事が素晴らしい。自分も何かテーマを決めてものづくりをしてみたい。(愛知県在住/学生) | |||
1枚の紙があんな風に姿を変えるなんてスゴイ。直線だけでできているのに座り心地が良かったので驚いた。(S) | |||
手を動かしていたらアイデアや創造を無限に広げていける、そんな気分になりました。(東京都在住/S) | |||
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国際デザインセンターでは、2002年9月27日から11月17日にわたり、デザインミュージアム内コーナー企画展として、笠松栄「折り紙に魅せられた椅子」を開催した。折り紙椅子のシリーズで広く知られる笠松氏だが、名古屋で作品展が開催されるのは初めて。今回は通常目に触れることのない模型や型紙など制作過程を紹介する貴重な資料もあわせて公開されたほか、近年の新しい取組みであるバリアフリーをテーマにした家具も発表され、氏の制作活動の全容を知る展示となった。 |
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《展覧会+トークショー開催レポート》 | |||
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初日に開催されたギャラリートーク&オープニングレセプションでは笠松氏による丁寧な作品解説がおこなわれ、制作にあたる発想と試行錯誤のさまがリアルに語られた。わずか数度の折りの角度に大きく左右される緻密な設計と制作サイドとの粘り強い協同作業の様子、自身のオリジナリティを追求し続ける姿勢は、デザインを志す学生をはじめ多くの参加者の心を打ったようだ。 |
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今回はじめて公開された模型や型紙は、それ自体も特筆すべき美しいもので、平面からマジックのように立ち上がる笠松氏の椅子ならではの制作プロセスを物語っていた。また、「折り」の可能性を象徴する資料として作品とともに展示され、多くの来場者の興味を引いたものに、「花紋折り」があげられる。創始者内山光弘(1878-1967)によって確立されたこの折りは、単純でありながら角度を少しづつ変化させることによって無限の表現を見せ、幾何学的な法則と硬質な美を兼ね備えたものである。現在ではほとんど後継者もいないこの折りだが、今会場では笠松雅子氏が制作した1700個以上に及ぶピースが壁面を飾った(=写真=)。その表現の豊かさに、遊びの文化として受け継がれた日本古来の「折り」の美学を再認識させられた来場者も多かったのではなかろうか。 |
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今回展示された代表作を含め笠松氏の作品は、オブジェのような美しさゆえに造形的な面白さばかりが取り上げられがちである。だが、その美しさを生活の中で楽しむことができるのが折り紙椅子の最大の魅力だ。本展ではすべてが借用作品でありながら笠松氏他メーカー各位の格別の協力を得て、自由に座り、触れる展示が実現した。来館者のコメントからは意外なほどの座りやすさに驚きの声も聞かれ、実際に触れられることでその構造の細やかさも伝わったようである。作品の保全性をかんがみると問題の多い「触れる展示」だが、得られるものの大きさを実感させられた機会でもあった。 きさくに学生からの質問に答えていた笠松氏のコメントが印象に残る。 |
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「何事も体感しなければわからない。実際に身体を使ってものをつくることを忘れてはいけない」 |
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つくる側もまた受けとめる側にも普遍的なテーマとして心に留め置きたいメッセージである。 |
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笠松栄「折り紙に魅せられた椅子」 会期=2002年9月27日(金)~11月17日(日)11:00~20:00 ◎休館日=10月15日(火) 会場=国際デザインセンター・デザインミュージアム 入場料=一般300円、高大生200円(常設料金に含む) 主催=株式会社国際デザインセンター 共催=笠松栄工業デザイン事務所 協力=株式会社ミネルバ、株式会社キタニ、株式会社オオタニ 入場者数=1,344名 |
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ギャラリートーク&オープニングレセプション 日時=2002年9月27日(金)17:00~ 会場=展示会場内にて開催 主催=株式会社国際デザインセンター 参加人数=57名(事前申込制) |
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