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銀賞/Silver Prize

タイトル: small village of small roof

コンセプト: 傘を差した時に生まれる空間は外部にありながら衣服の延長のような極めて私的な領域であり、他者と自分を隔てる境界が可視化した状態といえる。しかし友人や恋人等親しい間柄であれば、その境界を乗越える事は容易であり、一つの傘を二人で共有する事で連帯感を得る事もできる。一方で我々は電車や待合い場所等、様々な場所で他者と非常に近い距離に置かれるが、隣人の存在は希薄である。そしてその存在がポジティブに働く事はあまりないかもしれない。
こうした事情を鑑みて、私は傘を差した時に生まれる私的空間を拡張、集合させる事で、人々が自然と協同できるようなパブリックスペースを計画した。環境、時間によってその姿を刻々と変えるこの建築物は自然や他者といった都市生活であまり意識されない要素と対話するための装置なのだ。
晴天時は傘を取り付ける上部の器具はパーゴラとして機能し、開放されたベンチは自由に使うことができる。雨天時、この場所は即席の雨宿りの空間に変わる。ベンチは撥水処理が施され水滴がつかないようになっている。

コメント: コミュニケーションが希薄になっていく中で、第三者との接点とそこに生まれる境界に、人のぬくもりや他者の存在を感じることがある。この提案のように人と人の関係を生み出すしかけがあってもよい。恒久的に設置する公共施設よりも、よりイベント性の高い場、例えば万博会場のような、ある目的や意志をもって人々が集まる場での設置の方が協同性を得やすいし、そうした場所でシンボリックな存在になると思う。このようなインフラができることで、シーンが生まれる面白さを評価した。

Profile

受賞者名: 梅田 雄三/Yuzo Umeda

生年月日: 1979年10月23日

性別: 男性

国籍: 日本
 
  学歴: 2002年東海大学文学部広報学科 卒業
2005年早稲田大学芸術学校建築設計科 卒業
 
  職業: 設計事務所勤務

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