開催概要

DMイメージ

国際デザインセンターでは、このたび、収蔵品である“アメリカン・アール・デコ・コレクション”をご紹介するシリーズ展vol.16として、「Modern Ladies」モダン・レディ―アメリカ:ビューティビジネスの幕開けを開催します。

20世紀、近代化と二つの大戦の中で女性のライフスタイルは大きく変容を遂げました。1910年代から20年代のヨーロッパ、アメリカでは、教育を受けた女性の増加、参政権運動が高まり、女性の自立が叫ばれるようになります。1920年には合衆国憲法が改正、ようやく参政権が与えられた女性たちは窮屈なコルセットを完全に脱ぎ捨て、「ワーキングガール」として家庭から飛び出し、社会に進出していきました。中には「フラッパー」と呼ばれる享楽的な若い女性たちも現れ、従来の“女性観”を覆すショートカットに濃い化粧、喫煙、飲酒を厭わない大胆な行動で社会に衝撃を与えます。彼女達を中心とする最先端のファッション・スタイルはヨーロッパ、アメリカのみならず、大正期の我が国にもモガ(モダン・ガール)の流行をもたらしました。

1920年代、モードの中心はフランスから経済発展を遂げたアメリカに移り、新しいファッションはハリウッドを中心とした映画やショービジネスにのって、大きく広がりを見せていきました。プラチナ・ブロンドに細い眉のジーン・ハーロウ、中世的な魅力と憂いを含んだ表情でトップ女優として名を馳せたマレーネ・ディートリッヒ。この時期、美しい女優たちはスクリーンの中で最先端のモードをまとい、メーキャップによって現実離れする程の美しさを演出しました。当時、一般的な女性が日常的に化粧をすることはまだ珍しく、舞台用化粧道具も限られていましたが、そんな中、1914年にチューブ入りの化粧品を開発し、スターたちに絶賛されたのが、バレエ団のメーキャップ出身のマックス・ファクター1世でした。それまで植物油に小麦粉等を塗っていた役者たちは彼の開発を絶賛し、ファクターは多くの俳優、女優から信頼を得ます。1937年にはファンデーション“パンケーキ”を世に出し、化粧くずれのないこの商品は、ハリウッドだけでなく、世界中の一般女性に絶大な支持を得て歴史的商品となりました。

当時の女性たちはパリのモードはもちろんのこと、次々と誕生するハリウッド映画の中に新しい洋服のスタイルや、ヘアスタイル、メーキャップなどを見つけ、追いかけたのです。オフィスに出かける毎日のスーツや帽子、ドレスアップする時のドレスやパーティバッグ、どんな場所にも持ち歩ける携帯用のコンパクトやスティック状の口紅など、女性の活動の広がりは新しい消費市場の幕開けでもありました。経済発展により消費文化が大衆のものとなりつつあったアメリカでは、さまざまな層の女性がビューティビジネスの対象となり得たのです。殊に1929年の大恐慌以降には、財産を失った上流階級の特権が失われ、中流階級が文化の担い手となっていきました。

また、彼女たちの重要な情報源には、映画とともに当時急発展したメディア、雑誌があげられます。1910年代以降、印刷技術の発展と広告収入によって急成長した雑誌業界は、ハイクラスのビジネス誌から庶民向けの娯楽誌まで、多くの情報と広告を満載した雑誌を発刊しました。女性向けの雑誌には、“レディス・ホーム・ジャーナル”や“デリニエター”、“マッコールズ”など、ターゲットやテーマを変えた数々のファッション誌が存在します。これらの雑誌は、常に最新のモードを掲載し、美しい表紙もあいまって当時の女性たちを魅了したことでしょう。

本企画では、これらの1920年代から30年代の雑誌、雑誌広告を核に、当時のアメリカ女性を取り巻いたファッションや化粧品、装身具約70点を取り上げ、自由でモードな感覚を関連資料とともに展示、紹介します。

デザインミュージアム・コレクションシリーズ vol.16
「Modern Ladies」モダン・レディ―アメリカ:ビューティビジネスの幕開け

会期
2011年3月30日(水)~5月15日(日)
時間
11:00~20:00(入館は19:30まで/最終日も同じ)◎会期中無休
会場
国際デザインセンター・デザインミュージアム
〒460-0008名古屋市中区栄3-18-1ナディアパーク・デザインセンタービル4階/電話:052-265-2106
入場料
一般300円/学生200円(常設展示含む)※中学生以下無料
主催
株式会社国際デザインセンター
お問い合わせ
デザインセンター・事業部「モダン・レディ」係お問い合わせフォームへリンク

アクセス

  • 地下鉄名城線「矢場町」駅6番出口より徒歩5分
  • 地下鉄東山線「栄」駅7番出口より徒歩7分
  • ◎詳しいアクセスはこちらをご覧ください