主な展示作品

ライター/1930年代中期

階段状の幾何学模様のモチーフは1920年代に誕生した摩天楼の高層ビル。 アール・デコを建築様式に取り入れて道路からセットバックしたビルは建築規制法の条件を満たすためのアイデアだったが、幾何学的な独自の形状は新しい時代の象徴としてさまざまなデザインに取り入れられた。

ヘア・オーナメント/1920年代後期

セルロイド製の髪飾り。色使いもやや渋くフランスのアール・デコの影響を強く感じさせるデザイン。円や幾何学模様を特徴としたアール・デコはアメリカにおいてより軽やかで力強い大衆的なスタイルへと変化したが、1920年代にはまだヨーロッパの優美な雰囲気を色濃く残していた。

アフターシェーブ・ローションのボトル/1934年

ガラス の本体全体にマットなペイントを施し、プラスチック製の蓋と質感のバランスを取っている。デフォルメされた男性の表現がとてもユーモラスで、使い捨てのパッケージとは一線を画す。喫煙具や飲酒など、当時の嗜好品にまつわるグッズにはこうした愛嬌あるデザインが多く見られる。

チェスト/1938年

カラフルなプラスチックや樹脂など新素材の応用は家具にも登場した。従来では考えられなかったこうした色彩感覚は当然のことながら住空間全体に波及し、リノリウムの床からテーブルや椅子といった家具、電化製品、食器やカトラリーなどあらゆるアイテムが軽快で鮮やかな色彩で彩られていった。

ア-ウィン・ラジオ/1938年

主にアクセサリーなどによく使われたプラスチック、「マーブレット」を使ったラジオ。アーウィン社はカラフルで装飾品としても耐えうる小型のプラスチックラジオを数多く生産し、人気を集めた。これらのプラスチックラジオはその装飾性の高さで今なお多くの収集家を魅了し続けている。

オケージョナル・ボックスとパヒューム・ボトル/1937年

1930年代、ガラスは製造技術の向上とともに一気にカラフルになったが、この不透明なグリーンは特にこの時期多く見られる。蓋の部分のモチーフはパイナップルの葉の形を模したもの。当時の交通機関の発達は人々の余暇の過ごし方を変え、リゾート地を連想させる南国のモチーフは人気を集めた。

ネックレス/1930年代中期

マーブレットでできたネックレス。当時の素材開発の勢いは目覚ましく、1930年代だけでも実に20種類以上のプラスチックが発明された。マーブレットは半透明の色出しができる素材として装飾品を中心に使われた。このネックレスではマットな黒色と組み合わせることで半透明の黄色を引き立たせている。

ロック・グラス/1930年代

カラフルな水玉模様を焼き付けたロック・グラス。ガラスの製造技術の向上に加え、飲酒習慣の変化が食器に新しいデザインを生み出した。カクテルパーティが日常的なものとなり女性の飲酒も珍しくなくなると、気軽な飲酒シーンにふさわしいポップなデザインのグラスも多く生産されるようになった。

ドレッサー・セット/1930年代後期

ルーサイトと呼ばれたプラスチックと真鍮でできたドレッサーセット。透明度が高く、硬質なプラスチックを金属との組み合わせが高級感を演出している。こうした女性を取り巻くグッズや化粧品は、30年代のハリウッド・ブームの影響を受けて生まれた新しい市場の一つだった。

テーブル・スピーカー/1940年代初期

飲食店などに設置されたスピーカーで、コインを入れると音楽が流れるしくみ。30年代の流線型の特徴である丸いフォルムとライン使いはよりシンプルに省略され、さらにモダンな印象を与える。プラスチックの色使いも40年代に入るとより多彩に、鮮やかになった。

カクテルシェーカー・セット/1930年代後期

フランスのアール・デコがゴールドの華やかさを特徴としたのに対し、アメリカのアール・デコはより未来的なシルバーを多用した。銀色は機械の色であり、科学の色であり、宇宙の色だ。メッキ加工技術の向上もあいまって、光輝く銀色は家電製品やテーブルウェアを中心に数多く登場する。

シガレット・ホルダー/1930年代後期

タバコ屋の店頭で売られたディスプレイ用ホルダー付きのシガレットホルダー。赤、緑、黄色、不透明な色出しから透明色まで、プラスチックの豊かな色の魅力はこんな風に活かされた。不透明なプラスチックはベークライト。透明なプラスチックはルーサイトでできている。