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クリエイターズショップ・ループのしくみ|クリエイター創業支援スペースとしてのサポート体制

2011年より国際デザインセンターが運営するクリエイターズショップ・ループ(creators shop Loop/以下、Loop)。2024年度までに延べ167者の出店者をループではサポートしてきました。このジャーナルでは、クリエイター創業支援スペースとしてのLoopの仕組みをご紹介します。



クリエイターズショップ・ループ(creators shop Loop)は、デザイン・クリエイティブ分野の意欲的な試みをおこなうクリエイターや事業者を対象とする支援型ショップです。2011年に名古屋市が事業主体として設立し、企画運営を国際デザインセンターが担い、公募で選ばれた出店者に販売の場を提供しています。販路拡大・創業支援を目指すプロジェクトとして、第17期の2024年度までに延べ167者の出店者を応援してきました。
2019年にはデザインセンタービル4Fの実験的なショップから、より実践的な販売の場として、ビル内B1Fの販売モール内にクレアーレに移転し、他テナントとともに一般ユーザーの目に触れやすい環境の中で、販売活動を展開しています。

出店者への提供スペースは、小型家具等にも対応できる約16㎡と、アクセサリーなど小さいサイズの商品に向く約8㎡の2つのスペースを設定。出店期間は約1年間と短期間で入れ替わる約40日間の2つのパターンを用意することで、季節商材のブランドや、長期間の在庫を抱えられない小規模の出店者にも間口を広げるともに、年間で店頭の変化が生まれる仕組みをつくっています。

 

出店者が得られるアドバンテージには、賃料無料・低額諸費用で市中心部に位置するナディアパーク内でのショップスペースの出店権利のほか、販売活動に関するさまざまなアドバイスや店頭に寄せられるユーザーニーズの還元があります。
アドバイスは公募時点、応募書類の作成についての相談からから始まります。Loopの審査では、事業としての可能性をはかるため、サンプル商品だけでなく、事業計画の提出を求めますが、3年間の収支計画を含めたこの事業計画に悩む応募者も少なくありません。小規模なブランドでは、商品のクリエイティビティや制作に注力するあまり、相談を機に初めて活動にかかる原価や人件費などを精査し、活動計画を見直す事例も見られます。
審査の通過後も、商品ディスプレイはもちろん、広報ツールの作成やブランドロゴの見直し、ショッパーのデザイン検討など、小売販売に対応するためのブランド戦略を必要とするケースもあります。こうしたアドバイスは活動段階やそれぞれが抱える課題が異なるため、一者一者丁寧なコミュニケーションを図り、必要に応じ、相談先の紹介なども並行しながら準備を進めていきます。

無事出店を迎えた後も、売場の鮮度を保つためのブース入替に備え、定期的なディスプレイアドバイスを継続するともに、期間中には顧客獲得・販路拡大のために、各出店者によるPRイベントの開催を調整します。オーダー会やワークショップなど、出店者の希望に応じた効果的な企画内容・広報についての個別相談を続け、出店者が長く活動を継続し、事業として発展することを目指すため、Loopの場での経験や学びをそれぞれの出店者が活かせる仕組みを常に意識しています。

これまで、多くの出店者がギャラリー・百貨店等からの声がけ、取引先の拡大、顧客増加や広報効果による売上増加を実現し、なかには工房や店舗の設置、組織の株式化まで成長した出店者も出ています。そのほか、出店者間のコラボ商品の開発や、店頭を通して外部から協業の声がかかるなど、ショップという場が、新しいつながりをつくり、事業展開を有むきっかけの場となっています。個別の出店者だけでなく、Loopというショップ事業自体に、イベント等への出店の声がかかるケースもあり、テーマに応じた出店者と商品をコーディネートし、Loopとして外部イベントに参加する場合もあります。


こうしたバックアップ体制により、毎年多くのご応募をいただくとともに、再応募率も高く、経験値とともに、応募商品の品質が高くなってきているため、近年は新規応募者に向け、優先枠を設定し、出店者を募っています。
2025年には通年出店者5者、約40日間の期間出店者12者の計17者が審査を通過し、4月26日より出店を開始しました。今期は新規出店者としてセラミック、ファブリックデザイン、ウッドクラフト、ジュエリーからそれぞれ新たなブランドが参加し、新たな提案をおこないます。


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