アメリカン・アールデコ・コレクション

2017.07.31
 
 

IdcNコレクションシリーズvol.22

「LIFE」アメリカ・フォトジャーナリズム誌の誕生

IdcNコレクションシリーズvol.22「LIFE」アメリカ・フォトジャーナリズム誌の誕生(展覧会告知ポスター)

展示風景

エントランス

国際デザインセンターは、20世紀のデザイン史において日本の産業デザインにも大きな影響を与えた、1930年代アール・デコ期のアメリカのデザイン製品を所蔵しています。コレクションは、当時のライフスタイル全般にわたる多様なもので、作品数は約2,000点にもおよびます。コレクションシリーズ展では、その中から、毎回、テーマに沿って作品を紹介。今回は「LIFE」約100冊を公開し、当時のカメラマンが切り取った1930年代の社会の動きや人々の暮らし、雑誌デザインにおけるグラフィックの魅力をお伝えします。

「LIFE」は、1930年代後半、アメリカで発刊された写真雑誌であり、優れた写真を中心に、文章よりも視覚的アプローチから報道内容を伝える「フォトジャーナリズム誌」のスタイルを作り上げました。カバーページ(表紙)は、写真の魅力を最大限に伝えるべく、シンプルなロゴと絞り込まれた最低限のテキストで構成され、そのデザインは、ロゴ色の赤色とともに見るものの目に飛び込んでくる強さをもっています。創刊以降発刊部数をのばし、またたく間に多くのアメリカを代表する情報誌となったLIFEは、アメリカの思想を伝える報道、言論の場として長く注目され続けました。

今回のコレクションシリーズ展では、ニューディール政策の一環でもあるダム建設の現場を取り上げた1936年の創刊号から第二次世界大戦開戦までの、LIFE誕生期にあたる約3年間から約100冊を公開。当時のカメラマンが切り取った1930年代の社会の動きや人々の暮らし、雑誌デザインにおけるグラフィックの魅力をお伝えします。

※LIFE約100冊は、カバーページのテーマ毎に、「政治・経済」、「生活・風俗」、「人物」、「軍事・戦争」の4つのカテゴリーで展示。また、導入部分では、展示背景として、LIFEが誕生した1930年代当時のアメリカ社会を撮影した風景、風俗の記録写真(リプリント)を、参考資料として紹介します。
※主なカメラマン: マーガレット・バーク・ホワイト、アルフレッド・アイゼンスタッド、ロバート・キャパほか

出品例

LIFE創刊号(1936年11月23日号)

(上)LIFE創刊号(1936年11月23日号)
創刊号の表紙を飾ったのは女性カメラマン、マーガレット・バークホワイトによるフォートペック・ダムの建設現場。不況からの復興政策として打ち出されたニューディール政策の一つで、巨大なダムが大規模な公共事業と失業対策を象徴する。

LIFE(1937年8月9日号) LIFE(1938年3月14日号)

(左)LIFE(1937年8月9日号)
幅広く生活全般にかかわる情報を取り上げたLIFEには、名もなき人々の日常も登場する。8月号を飾った農夫とスイカの出荷風景はジョージア州アデルで撮影されたもの。ジョージア州は有数のスイカの産地として知られた。
(右)LIFE(1938年3月14日号)
1930年代はラジオや雑誌などのメディアが大衆の強い関心を集めた。椅子に座るのはNBCスタジオでリハーサル待ちの時間を過ごすシンガー兼女優のジェーン・フローマン。撮影はアルフレッド・アイゼンスタッドによるもの。

LIFE(1938年6月27日号) LIFE(1938年5月16日号)

(左)LIFE(1938年6月27日号)
LIFEの表紙には時代を代表する有名人をはじめ多くのポートレートが登場する。笑顔のフランクリン・ルーズベルト大統領は、1930年代の雑誌アンケート企画において、歴代大統領の中で最も高い人気を誇る人物に選ばれた。
(右)LIFE(1938年5月16日号)
第二次世界大戦直前の不安定な政局の中で、LIFEにも戦争報道が徐々に増えて行く。写真は多くの契約カメラマンの一人、ロバート・キャパ撮影による日中戦争の少年兵。この中国人の少年は撮影当時15歳だったとされる。

IdcNコレクションシリーズvol.22
「LIFE」アメリカ・フォトジャーナリズム誌の誕生

会期:2017年7月21日(金)〜8月20日(日)◎火曜日休/入場無料 
会場:国際デザインセンター・デザインギャラリー
主催:株式会社国際デザインセンター